ブルゴーニュ古酒を楽しむ会

今回はブルゴーニュの古酒を楽しむ会とした。Louis Jadot Meursault 1979 Louis Jadot Beaune Clos des Ursules 1971、1959を除き15から20年ほど前にオークションで落札し我が家のセラーにずっと保管していたワインである。白はタンニンがないので長期保存は難しいのが現状だがうまく熟成すれば数十年は美味しく飲める。ただし今回のように60年以上経過した白ワインは落ちている可能性が高い。私が落札した時よりブラウン色になってきている。今回は良いヴィンテージの1955と1947を提供する。Domaine Chansonは赤も白も長期熟成に耐えられるワインが多い。私の経験からは特に白の長期保存が可能なワインが多く今までも良好な状態で飲むことができたが今回はいかに。1955はちなみに私のヴィンテージ。Barton & Guestierは 1725年創業でボルドー最古のネゴシアンとも言われフランス各地のワインを世界約130カ国において1000万本近くを販売している。Chassagne-Montrachet Barton & Guestier 1947はボルドーのネゴシアンらしくイギリス向けに英語表記されている。落札した当時よりやや褐色になりつつありかなり老化していると思われるがこれも古酒の運命と考えて飲んでほしい。Louis Jadot Meursault 1979はこの中で一番若いがこのワインも40年経過している。数年前に購入したワインだが色も,清澄清もコルクの状態も良好でおそらく白ワインの熟成したヘーゼルナッツやマロン香が楽しめるかもしれない。
一番古いボトルがClos de Vougeot Camille Giroud 1922でlow shoulderまで落ちている。澱も多いが澄んでいるので97歳のワインを味わってほしい。
Louis Jadot Beaune Clos des Ursules:ボーヌ村のClos des Ursulesの畑は1826年にルイ・アンリ・ドゥニ・ジャドによって購入されて以来、代々ジャド家によって単独所有されてきた。Clos des Ursulesはプルミエ・クリュのヴィーニュ・フランシュを囲む壁に接した一角にあり、畑面積は2.75ha。何故かボーヌにはグラン・クリュはないのにこの時代のエチケットにはグラン・クリュと表記してある。色々調べてみたがいまだ理由は不明。私が推測するところではBeaune Clos des Ursulesの後に英語のmonopoleである(Seul Prop)とフランス語で表示してあるので少なくとも今のブルゴーニュの格付けが厳格にされる前の事と考えればモノポールの畑なので特別にグラン・クリュ クラスのワインという意味で表記したものと思われる。時代を感じるフランス語表記のモノポールの古酒、いずれにしてもブルゴーニュのワインが経年の変化としてどのように老化していくのかを楽しんでほしい。


令和01年08月31日にブルゴーニュ古酒を楽しむ会をエスパース ソシアル ル サロンで開いた。ワインは1922から1979のワインでブルゴーニュワインがどのように熟成するかを鑑賞した。Louis Jadotを除き20年ほど前にオークションで落札し我が家のセラーにずっと保管していたワインである。
Louis Jadot Meursault 1979
Chassagne-Montrachet Domaine Chanson 1955
Chassagne-Montrachet Barton & Guestier 1947
Chassagne-Montrachet Domaine Chanson 1966
Louis Jadot Beaune Clos des Ursules  1971
Louis Jadot Beaune Clos des Ursules 1959
Clos de Vougeot  Grand Cru Camille Giroud 1922

すべてのワインがノンリコルクであった。抜栓時にコルクを突き抜く陰圧の感じからまさに何十年も空気と遮断されていたワインであることが感じられる。だからこそワインの中に含まれるフェノールやエステル、ケトン、アルデヒドなど醸造や果実由来の香気成分と残存する有機酸、蛋白質、ミネラル、酵母由来の物質が抜栓したその時から酸化が始まり様々な香りを時間経過とともに発生させていくことが理解できる。

Louis Jadot Meursault 1979はこれらのワインの中では一番若く溌溂としてヘーゼルナッツの香りを出している。
私のヴィンテージのChassagne-Montrachet Domaine Chanson 1955は甘いキャラメル香が前面に発ち余韻が長い。時間経過とともにアマンドショコラやコーヒー香が現れ、白ワインの古酒に現れる最高の熟成香であるモカ香が感じられた。
72年が経過したChassagne-Montrachet Barton & Guestier 1947は初期にはスモークチーズや燻りガッコのようなたくわん香が感じられたが、経過とともに発酵バターとキャラメル香が出て甘みが強くなる。セップ茸をバターでソテイした焦がしバターとキノコ臭が現れ複雑な変化をしていく。
Chassagne-Montrachet Domaine Chanson 1966は甘く優しいストロベリーやチェリーの様な果実香とスーボア(森の下草)の香りが発つ。私の経験ではDomaine Chansonのワインは白も赤も長期熟成をするクオリティの高いワインである。
Louis Jadot Beaune Clos des Ursules 1971
しっかりとしたガーネット色でまだ強いチェリーの様な果実香の中にスーボアを感じる。甘い果実と柔らかなタンニンがあり若さすら感じる。
Louis Jadot Beaune Clos des Ursules 1959
イチゴジャムの赤い果実香が前面にありその中に熟成を感じるスーボアや鳥獣香を感じる。しばらくすると果実香の中にスミレの様な赤い花の香りが薄く感じられ、色は薄いがその中に赤い花の香りと熟成香が強く発つ。まるでDRCを連想させるワインである。ブラインドで出されると間違えるほどのワインで時間経過とともにベリー系の紅茶の香りが発ち果実の甘さが前面に出てくる。タンニンはほとんど感じられない正に今が飲み頃の古酒である。Louis Jadot Beaune Clos des Ursulesは70年代まではエチケットにグラン・クルと表示されているごとく特級に匹敵するモノポール(Seul Prop)のワインと言っても過言ではない。
Clos de Vougeot Grand Cru Camille Giroud 1922は97年間外気と遮断されたワイン。色はさすがに褐色でたくわん香がする。時間経過とともに酸臭は飛んできれいな果実香が現れた。柔らかなタンニンも感じられチェリーの様な果実の甘さすら感じる。一体ワインって何者なのか。

上質のワインはしっかり醸造され管理、貯蔵、保管が正確に行われればリコルクという治療が施されなくても100年近く生きている。コルクがしっかりしていればワインが浸透してきてもそこには黒カビが生え雑菌からワインを守ってくれる。たとえワインが目減りしてもボトルの中は自然に保護されワインもその寿命を全うできると考えられる。
古酒のワインは赤も白も熟成により褐色になって行き白ワインは赤ワインに、赤ワインは白ワインに近ついていく。赤はタンニンを持ち白より複雑な熟成をしていく。人間に例えると赤は複雑な生理現象を持つ女性で白は男性と考えればまるで人間の加齢と同じである。すなわちワインはエイジングにより赤も白も同じ方向に進み、人間は男と女の性差がなくなり中性化していくと考えればまさにワインは人間の一生そのものである。日本ワインも100年熟成するワインができることを醸造家に期待したい。